Facebook - 清森 義行
2020年6月28 日
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(以下一部引用)

「マインドフルネス」と「唯識の教え」との関係について、知ることは大切だと思いますので、解説させて頂きます。

唯識は、飛鳥時代に中国から、日本に伝来して、唯識に基づいた法相宗が、

南都六宗の一つとして、栄え、多くの僧侶たちによって、学ばれました。

鎌倉時代には、法然が浄土宗、親鸞が浄土真宗、日蓮が日蓮宗、道元が曹洞宗を興しましたが、

これらの宗祖は、いずれも唯識を深く学び、その上で、自らの信念に基づいて、新しい宗派を形成しました。

唯識学は、「仏教の基礎学」ですので、当然と言えば、当然ですけど。

親鸞は、14、5歳で学ばれた、と言われ、

道元は、9歳にして、唯識を学び終えた、と言われています。

曹洞宗では、それに刺激されて、江戸時代までは、特に曹洞宗の僧侶は、唯識の習得に精進されたようです。

でも、明治時代に入って、曹洞宗では、その風習はなくなりました。

浄土真宗でも、残念ながら、勉強する人は殆どありません。

現代の仏教界を見ると、

唯識は、いくつかの大学で、学問として学ばれているだけで、悲しいことですが、

仏教を普及すべき布教使の方々の、唯識への関心は、殆ど消え失せています。

仏教の基礎学であるにもかかわらず、です。

ところが、最近、世界では、唯識が注目され始めています。

特にアメリカに於いては、マインドフルネスの大ブームから、唯識が追求され始めています。

マインドフルネスとは、ティクナットハン師が唱えた仏教由来の瞑想法で、

「瞑想」という具体的な修行を通して、自分を高めることが出来る

「東洋の実践的な宗教」だとして、アメリカで人気を博しています。

私も、NHKで、ティクナットハンが出ている『心の時代』をみましたが、とても良かったです。

その人気の始まりは、

1975年、マサチューセッツ医科大学のジョン・カバットジン博士が開発した「マインドフルネス・ストレス低減法」です。

カバットジン博士は、仏教の瞑想法の効果に着目し、そこから、宗教色を取り除いて、プログラム化しました。

この心理学的治療法は、慢性疼痛、心身症、摂食障害、うつ病などに効果があることが、実証されており、

現在、世界の七百以上の医療機関で、活用されています。

マインドフルネスは、ストレス軽減や、集中力・創造力の向上にも効果的と言われ、

アップル、インテル、ゴールドマン・サックスなど、

世界に名だたる企業が、社員教育に取り入れています。

中でも、グーグル社が、ティクナットハン師による、マインドフルネスの指導を社員に受けさせたことは、大きな話題になりました。

これをきっかけに、日本でも関連本の出版が相次ぎ、人気が高まりつつ、あります。

ティクナットハン師は、マインドフルネスを世界に広めようと、フランスとアメリカを拠点に活動するベトナム人僧侶です。

ベトナム戦争の時代には、被災者の救援活動を行い、戦後は、医療施設や、学校の設立、戦災孤児の支援活動などに尽力し、

「行動する仏教」(engaged buddhism)を体現しました。

1966年には、

ベトナム戦争終結を訴えるために渡米し、彼の行動に感銘を受けたキング牧師によって、

翌年度のノーベル平和賞に推薦されたことでも、知られています。

私はティクナットハン師の著書を何冊も読みましたが、大乗仏教も深く学ばれて、

また初期仏教も、しっかりと学んでおられ、素晴らしい方だと思います。

その、ティクナットハン師の思想と教えの土台になっているのが、実は唯識です。

このことから、今、アメリカでは、唯識への関心が高まっているようです。

これは、とても喜ばしいことです。

この機会に、日本で長く学ばれ、実践されてきた唯識が、

もう一度、日本で息を吹き返すことを、強く願わずにおれません。

唯識は、心を深層から、解明することに取り組んだ「心の科学」「心理学」です。

唯識は、単なる宗教ではなく、科学でもあり、哲学でもある、

という三つの要素を兼ね備えた、古くて新しい普遍的思想なのです。

「心」ほど、身近でありながら、とらえどころのないものはありません。

しかも、その有り様によっては、これほど、自分を苦しめ、迷わすものはありません。

この唯識学を、単なる知識としての思想ではなく、実生活の中で活かすようになれば、

「本当の幸せになれること、間違いなし」と思わずにおれません。

私の実感から言いましても、唯識を正しく理解出来た分だけ、

確実に執着は減って来ていますし、
罪悪は確実に弱くなって来ております。

ですから、唯識を極めたら、必ず生死の問題も解決できる、と私は確信しております。

現代に生きる私達が直面する、様々な問題を解決するために、

「唯識こそが、一番必要な教えである」と強く感じています。